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成人してからアスペルガー症候群と診断された娘。 全般的発達障碍+重度知的障碍の二男。 子ども達との生活は、山あり谷あり。 今日という日をしっかり生きて、明日に繋がるように 祈り続けたい・・・
2018/04月
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「 家に帰りたいの。おばあちゃんの所に帰らなきゃ。」

娘は しきりに、家に帰る…と言っては、玄関を出て行こうとし始めました。


そんな娘を 必死で止めようとする私に、娘は・・・

「 どうして止めるの? おばさん、だれ?」

「 えっ・・・?」

私は、言葉を失いました。


目の前にいる娘は、さっきまでの娘とは 違っていたのです。
声のトーンも、言葉づかいも、確かに 娘とは違っていました。


「 お母さんだよ!」

「 お母さんって、だれ?」

私は、自分の名前を告げました。すると・・・

「 知らないわ!」  

 娘の口から出た言葉を聞いて、私は、ようやく、何が起きているのかを
知ったのでした。


解離性同一性障害・・・


娘が解離だと 医師に言われてから ずっと、私は、この言葉が
いつも気になっておりました。

まさか・・・

目の前の娘に、一体 何が起きているのか・・・
私は、恐る恐る、娘に聞いてみました。


「 あなたは、だあれ? お名前は? 」

「 知らないわ!」

私は、娘の本名を告げました。 すると・・・


「 だれ? それ、変な名前! そんな名前嫌いよ!」

娘は、顔をしかめて、吐き捨てるように言ったのでした。


「 お母さんは? お父さんは? 」

「 いないわ! 死んじゃったの。」


「 どこから来たの?」

「 ずーっと遠くの外国から 船に乗って来たの。」


「 どうして、ここに来たの?」

「 お花が たくさん咲いていて、綺麗な絵があったから、
ホテルだと思って、入ったの。」


「 家族は?」

「 みんな、死んじゃった。おばあちゃんと住んでるの。
早く帰らないと、おばあちゃん 病気だから、足が悪くて
歩けないから、帰ってあげないと 死んじゃうわ。」


娘は、すぐに玄関から出て行こうとするので、私は、
力づくで 引き止めるのが 精一杯でした。


二男は、施設から帰ったばかりでしたが、いつもの娘と異なる様子に、
何も言わずに、私と娘のやり取りを 遠巻きに見ていました。


「 この子は、だあれ?」

二男を指差して、娘が尋ねるので、二男の名前を告げると・・・

「 可愛いわね!」

娘は、二男のことを、しきりに可愛いと言って、頭を撫でるのでした。


いつもなら、そろそろ 夕食の支度を始める時間でした。
日も暮れて、外も暗くなり、娘が外に飛び出して行けば、
私一人では、とても対応出来る状態では ありませんでした。


困り果てた私は、解離に詳しい友人にメールをしました。
娘の状況を書いて、どうしたら良いかと尋ねたのでした。


友人から すぐに返信メールがありました。

「 事故防止のためにも、交代人格には 家に居て欲しいが、
無理なら、一緒に出かける事。

人格が戻るまでは、交代人格と対峙するしかない事。
この時、交代人格を否定してはいけない。」


全く知識のなかった私には、友人のアドバイスが、ただ一つの
救いでした。

友人は、その後も、情報を送り続け、自分の事のように心配して
下さったのでした。




思いも寄らなかった出来事に、ただただ驚き、でも、なんとかして、
とにかく、一晩を乗り切らなければ…と言う思いで
私は、必死になっていました。

無我夢中で、目の前の娘ではない別人格と話を続け、
今夜は遅いから、取り敢えず、ここで泊まって欲しいと
話をしたのでした。


私との力づくの引っ張り合いで、疲れたのでしょう。
娘は、素直に私の言葉にうなづいて、「今夜はこちらで泊めてください。」と、
布団に入ったのでした。

食事の用意も出来ずに、娘にかかりっきりで、二男は放ったらかし。
お腹の空いた二男は、自分で パンを焼いたりして、黙って食べておりました。

重度知的障害のある二男ですが、こんな時は、何も言わなくても、
事態を察知して、私の手間を取らせずに 自分でやってくれるのです。

私は、二男にも、ごめんねと謝り、感謝したのでした。


夕食後の薬と、就寝前の薬。
娘は、毎日 服用していましたが、この薬を飲ませるのに また一苦労でした。

「 これを飲んでね。」と、差し出すと、
「 毒が入っているんじゃないの?」と、疑うので、大変でした。

必死で説得して、どうにか飲んでもらい、やれやれでした。


娘が寝てから、 私は、すぐに 主治医の大学病院に電話をかけました。
当直医が電話に出たので、状況を説明し、娘が家を飛び出そうとするので
一人では、対応出来ないと、話をしました。

医師が、私に告げたのは…

退院したばかりなので、再入院は出来ない。
どうしても、入院させたいのなら、緊急救急システムを使う方法がある。
連絡して、相談すれば 病院を紹介してもらえるかもしれない。

でした。 当直医は、親身になって、私の話を聞いて下さいました。
私は、すがるような気持ちで、緊急救急システムに電話をかけてみたのでした。


そして、とても一人では対応できない事を告げたのでしたが…

おとなしく眠っている今現在の状況では、緊急システムは使えない。
システムが使えるのは、もっと深刻な場合で、
例えば、自傷や他傷の恐れがある場合などに限る。
仮に、使えたとしても、遠隔地の病院の紹介になる。

との理由で、病院の紹介はして貰えませんでした。


私は、どうにかして、明日の朝まで、娘ではない別人格と、
対峙しようと、覚悟を決めたのでした。

幸い、娘は、夜中に1、2度起きて、トイレに行ったり、
お茶を飲んだりしたものの、玄関を飛び出していく事はありませんでした。


長い長い時間が過ぎて行きました。

眠れない一夜を過ごし、私は、娘が 目覚めた時には、元に戻っているようにと、
心の底から、祈りました。


ですが・・・


朝になって、目覚めた娘は、別人格のままでした。
そして、家に帰りたいと、また言いだしたのでした。

昨夜は、「朝になって、家の迎えが来るまで、ここで待ちましょう。」と、
言い聞かせていたのでしたが、「迎えが来ない!」と言って、混乱し始めました。


一体、いつまで、この状態が続くのだろう・・・
永遠に続くのでは ないだろうか・・・

私は、そんな気さえ してきました。

たとえ、ずっとこのままでも、相手をするしかないのだ・・・
いつまでも、元に戻るのを待ち続けよう・・・

私は、そう 自分に言い聞かせて、覚悟をしたのでした。



別人格の娘は、朝ごはんも食べ、毒ではないかと疑いながらも 薬を飲み、
だんだんと、私を頼ってくれているように 感じていました。

娘ではないけれど、暴言は吐かないし、言葉使いも丁寧で、
どうやら、穏やかな性格のようだ・・・

私は、次第に、別人格の娘の事が、愛おしく思えてきたのでした。



そんな時、突然に、「おばさんの事、おかあさんと呼んでいい?」と、聞かれ、
私は、嬉しさのあまり、「 呼んで!呼んで!」と、笑顔で答えていました。

それまでは、私の事を ずっと、「 おばさん!」と、呼んでいたのに、
おばさんから、「おかあさん」に変化したのでした。


「 おかあさん優しいから、ずっとこのまま、ここにいてもいい?」

「 うん!いいよ。ここにいて!」

「 じゃあ、家に帰らなくてもいいわ。ここにいる!」


「 私、名前がないから、おかあさん 名前付けて!」

私は、娘の名前を告げてみました。

「 そんな名前、嫌いよ! 大っ嫌い!」


自分の名前に 異常に反応する娘が 不思議でしたが、
私は、名前を何にしようか迷ったので、入院中の主人に電話をかけました。


「 名前を付けてと言ってるけど、何がいい?」

主人には、ずっと電話で状況を伝えていたので、
すぐに主人は 答えてくれました。


「 マリア・・・」

「 えぇっ? マリア? 恥ずかしいんじゃない?」

「 じゃあ、サラ!」


マリアもサラも、聖書に書かれている女性の名前ですが、
普段は、聖書もキリスト教にも興味を示さなかった主人が、
この名前を出した事に、私は、とても驚きました。


「 ああ、きっと、サラがいいって、言うよね!」

「 うん!」


私は、電話を切り、娘に 「マリア」と「サラ」の名前を言いました。

すると、娘は、「 サラがいい!」と、即答しました。


そして、「 サラちゃんにする! 今日から 私は、サラちゃんになる!」

と言って、ものすごく喜んだのでした。


すぐに、自分の手の甲に 「サラ」と書いて・・・

「 サラちゃん と呼んで!」

と、繰り返し、言ったのでした。


それから、私に、家族の名前を ひとりひとり書いて欲しいと言って、
ノートを差し出したのでした。


私は、言われるままに ノートに家族の名前を書き、
お父さん、お母さん、お兄ちゃん、サラちゃん、弟・・・
と、説明を始めると・・・

突然に、話していた別人格の声が変わり・・・
別人格は消えて、元の娘が、戻ってきたのでした。



23時間が経過していました。

長い長い、時間でした。

娘は、やっと、元の娘に戻ったのでした。






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女性
自己紹介:
子ども三人の母です。
成人してからアスペルガー症候群と診断された娘と、全般的発達障碍+重度知的障碍の二男との暮らしは、山あり谷ありですが、楽しく暮らしています。

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LITALICO(りたりこ)発達ナビのコラムに記事が掲載されています。

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